景清爪形観音のある清水寺を訪れた市川團十郎 ©松竹
京の年中行事「吉例顔見世興行」(12月1~24日)で歌舞伎十八番の内「景清」を演じる歌舞伎俳優の市川團十郎白猿(45)が15日、主人公・悪七兵衛景清ゆかりの地、清水寺(京都市東山区)を訪れた。
仁王門からほど近い随求堂の前に鎮座し、景清が自らの爪で彫ったとされる景清爪形観音と、景清の足型を彫った仏足石を見ながら、清水寺学芸員の坂井輝久さんから逸話を聞き、受け継がれる豪傑な景清に思いを馳せた團十郎。
「7日間、平家再興と頼朝に一太刀あびせたいという思いで清水寺に籠り、その中で景清が爪で観音様を彫ったということで、よほどの思いがあったのだと思います。命がけだったということがわかります」
清水寺を訪れた市川團十郎 ©松竹
十三代目市川團十郎白猿襲名披露、八代目市川新之助初舞台の公演となる「顔見世」で上演する「元の(海老蔵時代に)作らせていただいた『壽三升景清』は、景清が死ぬ間際の走馬灯の瞬間を描いた作品。頼朝に対しての思いが実らず、だからこそ死ぬ間際に夢を見た景清や平家方の人間の刹那や願いがよく伝わる演目になっていると思います」と話し、それが襲名披露興行でかかることに「かなりめずらしいこと。皆で作った作品が、團十郎襲名でかかる演目になり、うれしい」とほほ笑んだ。